大学生の研究日誌序説

心理学徒の研究日誌。日日是好日。

【学問領域】 社会哲学, 社会心理学, 社会学, 統計学 【研究キーワード】プライバタイゼーション(私化, 私生活主義, マイホーム主義)・文化産業・全体主義・心理主義・批判理論・消費社会・大衆社会・公共圏・親密圏・啓蒙主義・イデオロギー・自己実現・マルクス疎外論・虚偽意識・自己責任論・権力論・陰謀論・(ラカン派)精神分析・構造主義的マルクス主義・医療化・資本主義・ポストモダン・社会構成主義・弁証法・ヘゲモニー・個人化・システム論・コーポラティズム・余暇・ネオリベラリズム・家族主義・パンとサーカス・フランクフルト学派・ファシズム・サブカルチャー・一次元的人間・政治的無関心・音楽・カルチュラル・スタディーズ・ポップカルチャー・主体性・否定弁証法etc… 【研究テーマ】 ※卒業論文で現在進めている内容です。 ・アドルノの文化産業論を軸とした, 日本のポップ・ミュージック(J-POP)の縦断的歌詞分析・批判的考察(ただし, 方法論として, 「テキストマイニング」という計量的手法を用いています。) 概要・・・J-POPの歌詞において, アドルノの「文化産業論」を通して批判的に検討する事を目的とし J-POPの歌詞や音楽と, 現象を社会構造上の問題ではなく, 個人の問題として捉える「心理(学)主義」という概念の宥和性が高いことを指摘し, その概念を接合しながら, J-POPの歌詞が社会批判を漂白してしまう作用・権力に組み込まれていく作用に注目して, 分析・考察を行う。 ※これからの研究展望 ・フーコーの権力論を梃子とした心理学批判 概要・・・心理学とポップカルチャーの同型性をフーコーの権力論を梃子にして批判し, 心理学が文化に影響を与えていく様相をシステム理論的に分析・考察を行う。 ・公共圏の希薄化における文化的作用の検討 概要・・・私化という親密圏に安住し, 討議する場である公共圏の衰退が民主主義を連鎖的に衰退させてしまう社会構造の分析と, それに一部寄与する形で登場するポップカルチャーの作用を検討する。 ・アドルノの文化産業論及びフランクフルト学派の批判理論の応用可能性の社会学的検討 概要・・・音楽社会学者は, アドルノを必ずと言っていいほど, 踏み台として理論展開に用いるが, 誤読や偏見が多く見られる。このようなことから, 文化産業論を一度再検討し, 欠点を補う形で, 文化理論の展開を再度図りたい。また, 批判理論を社会現象に応用することを社会学的に検討したい。 【個人的な研究における思想的背景】  私は学部の正課授業で心理学を学んでいますが, 学んでいく内に心理学は社会の作用, 特に経済的な決定論を軽視しているのではないか, と思い始めました。特に, 臨床心理学における心理療法は, 「個人」に焦点を当て, 個人の自助努力を中心とした社会批判ではない「意識改革」系統が多いことに気が付きました。「個人」をセラピー等によって救うことは個人化の進行する中で、ある意味なくてはならないとは思いますが, そのように「個人の努力」のような人間中心主義的且つ狭窄的且つ対症療法的思考だけでは, 社会病理を生み出す構造上の経済的問題などの解決には至らず, ましてや, 社会の権力作用に意図的に隠蔽する形で組み込まれていく危険性があると私は考えています。実際に, 私自身家庭の経済状況が厳しく, 私自身の努力でどうにもできないことがたくさんあることを身に染みて感じたからです。  そこでこれを研究しようと考え, 自分の心情を表現してくれる文献を探している時に出会ったのが, かの有名な『啓蒙の弁証法』でした。彼らの歴史哲学に圧巻を受けつつ, その中の文化産業論に魅かれ, 更に, 自分の中で疑問視していた「J-POP」が連想され, 更に, アドルノの『音楽社会学序説』に辿り着きました。その後, 現在に至ります。
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