大学生の研究日誌序説

心理学徒の研究日誌。日日是好日。

デカルト『方法序説』書評

 

方法序説 (岩波文庫)

方法序説 (岩波文庫)

 

 「完全な」存在者は完全という観念(Idea)を含み得る――。

所謂この「神」は, cogito ergo sum (ego sum, ego existo/je pense, donc je suis)という第一原理から生み出された。

全き理性主義者であり, 懐疑論者のaporia-ある命題を「偽」とみなすことによる「真」の命題の呈示不可能性ーを回避しつつ, 理性による認識を自己言及的に精緻化していくような「方法的懐疑」を提唱する。

 その「精神」「知性」の延長としての「物質」という実体を設けた。これがかの有名な二元論。

面白いのが, 全て神からの演繹として結び付けられていること。アクティナスやアリストテレス流の経験論的認識論(スコラ哲学)ではなく, プラトンアウグスティヌス流のイデア論を支えとしているのが逆説的な引用からよくわかること。

 

第六部が個人的にはおススメ。「お前ら, 他人には気をつけなはれや。」的なことが書かれていて, 「なんでもアウトプットすりゃええもんちゃうで, それに関わる時間のこと考えてまっか。」みたいな所がすごく勉強になった。詳しくはよんでみそ。

四部か五部は理科の教科書で, AIのことについてふれているような記述もあって面白い。後は, X³←この記号記述を考えたのはデカルトらしい。ほえー。

 

P.S. プロフィール変えました。